『思いを調和す』 《癒奏術・山桜の章》




人生ばかり 嘆き憂いて

喜びを 追いかける裏に 恐れあり



裏に恐れを抱き続けて 何から逃れようというのか


夢を見せると言いながら 飢えや渇きの恐れを抱かせ


夢を追うと言いながら 恐れに追われているのはなぜか


夢を追うと言いながら 怒りを抱くは何ゆえか




恐れを慰む情けの水は 忌火を燃やす情念の火


恨みを晴らす喜びを 幸せとすり替えたる心


幸を追うと言いながら 不幸の仇討ち追いかける


怒りの忌火を灯す心に 宿る愛は情念の火


飢えと渇きを伝播する 餓鬼の焔(ほむら)であると知れ




喜びと 見えるものの裏にあるもの

夢と思うものの裏にあるもの

それを綺麗に祓わぬかぎり

愛へと至ることはなし




哀しみの 敵討ち

恐れの 敵討ち

愛を敵(かたき)とし 金を敵(かたき)とし

復讐心を抱えたる心

どこまで行けども満たされぬ

餓鬼の忌火を抱く限りは

憎しみを抱き続ける限りは




憎しみは 怒りが湿りて 懲りたる忌火

くすぶり続けて 心は煙る

煙りた心 曇り空

晴れわたらねば 愛は見つからぬ


心 煙りて曇りているから

言葉も曇り 事まで曇る


曇りているから 憂いが消えぬ

情けの忌火を 消さねば消えぬ





喜びは 追うものに非ず

幸せは 追うものに非ず


追いかけている 心の裏に

逃げる心があるを知れ


追いかけている 心の裏に

忌火が燃えているを知れ




喜怒哀楽を追う心

懲りた執念 情けの忌火


喜怒哀楽は巡りくるもの

巡り来たれば 受け取るだけぞ



逃げても巡りは巡り来る

追うても巡りは巡りゆく


春夏秋冬 巡ると同じ

夏を追えども追い付かず

冬から逃げれど逃げられぬ

喜怒哀楽も春夏秋冬

思いも季節を味わう如き


春は花 夏ホトトギス 秋は月 冬雪冷えて 涼しかるように

怒りは雷 喜びは雨 哀しみは川 恐れは渇き

思いの巡りの柱には 必ず愛があるを知れ


怒りの中に愛があり

喜びの中に愛があり

哀しみの中に愛があり

恐れの中に愛があり


季節の中に恵みある如く

思いの中に愛がある



季節の巡りは恵みの巡り

思いの巡りは愛の巡り


季節の表裏 季節の日月

思いの表裏 思いの日月


月が照るのは日の光ゆえ

様々な思い生まれるは愛ゆえ


春夏秋冬 昼夜ある如く

喜怒哀楽は巡るもの


哀しみは 不幸に非ず

怒りは 悪に非ず

恐れは 闇に非ず

喜びだけが幸に非ず

すべての思いに愛がある




巡る季節に調和する如く

巡る思いに調和するとき

真中に愛の柱立つ


真中に愛の柱が経てば

昼夜の巡りと同じように

善悪巡りて弥栄となる



逃げず追わず巡りと調和す

⦿(日月)の調和 示現せよ


思いと調和する心

空は晴れたり日本晴れ