岩の神
岩長姫が現れたときから
かの神は「慈母神」そのものであった
それは
深い深い悲しみの底に沈み
悲しみの海の底で光る「誠の慈しみ」を見つけ
その光を【柱】としているから
揺るぎない「慈しみ」の思いは
いくつもの「悲しみ」を乗り越えるたび
愛へと転化した一つ一つの意思(石)が
やがて巌(いわお)のごとく成り
悲しみの数だけ慈しみの巌となり
【慈愛】の神となった
かつて素戔嗚命が起こした悲しみの嵐は
八岐大蛇を生みだしご
さらに九頭龍へと転生し
岩長姫へと転生した
素戔嗚命が退治した八岐大蛇から
剣が生まれた
その剣は姫神となり
岩長姫の【柱】となった
根の国の姫神【コマス姫】は【アマテル神】の三つ子を産み
八岐大蛇へと転化した
悲しみの嵐を巻き起こし
三千世界へと広がった
素戔嗚命自ら起こした大嵐は
神を「大蛇」に転化させ
別の新たな大嵐を呼び
その大嵐が生む『灰汁(悪)』を
伊弉冉命の宮で祓い続ける
「大蛇」を生むは『情け』
「悲しみ」の情が持つ「灰汁」
されど
「悲しみ」の嵐に巻かれて沈んで
ようやく「愛」へと至るから
その「愛」へと至れるものだけが
【神】と成れる
八岐大蛇となり岩長姫へと転生した【コマス姫】の
三つ子の姫は「宗像」で
日の本支える【柱】と成りた
叢雲祓う【剣】と成りた
岩長姫の慈母の【柱】たる三女神の【湍津姫】
悲しみの底に光る【慈愛】
【事代主】を産み成して
【八重垣】守りて幾星霜
始まりの【渦】が終わるまで
「根の堅洲国」の穢れを祓う
「初代事代主」の【クシヒコ・櫛日子神】
二代目「大物主」となり
【国魂・大国主】へと至る
国譲りしたるその心
【慈愛】以外の何物でも無し
【天の逆鉾】携えて
天地グレンとひっくり返す
八岐大蛇の穢れの渦は
天の益人らを穢し
穢れの渦は日の本に還り
やむなきかつての「国譲り」
裏で支えた八重垣も
穢れ乗り越え日の本に
押し寄せ来たる今際の極み
【剣】無き者押し流す
【柱】無き者押し流す
神一厘の経綸の成就
八岐大蛇退治の経綸
二見浦の夫婦岩
真澄を映す【浄玻璃の鏡】
瀬織津姫が携える
日月の鏡が真澄を映す
巌の如く【柱】と成った
御魂の真澄の裏表
隠せるものは何も無し
人は皆【剣】を宿している
されどそれは【大蛇】を退治したものだけ
【剣】を宿しているのと同じく
【大蛇】も宿しているのである
【剣】は【大蛇】の腹の中
取り出せねば【剣】と成らぬ
この三年の間
事代主に「あなたは誰だ?」と問い続けていた
一向に得られぬ応えが
ようやく返ってきた
それは一言では言い表せぬ長い長い物語があり
四年かかってようやく登った高みから見ないとわからない景色であった
「事代主」とはお役の職でしかない
「大物主」の補佐官といったところか
「大物主」は「将軍」で
「事代主」とはいわゆる「副将軍」である
初代・大物主である【大己貴命】
初代・事代主である【櫛日子】
だが大己貴命は恐れられたがゆえ
櫛日子が大物主となり「和」となった
そんな将軍たちが守るものが【国魂】
【国之常立神】から【アマテル神】へと地上に託された【国魂】
その【国魂】が【大国主】であり
守る将軍たちを【八重垣】という
「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」
素戔嗚命が創った【八重垣】を受け継いだのが「物部」
アマテル神の三十二柱の防人の一つ
その頭領が「大物主」である
【国魂】を守る【八重垣】
【御統の魂】を守る【籠】
それは別のものであり同じものである
【事代主】は受け継がれ
【八咫烏】となって『蔭』から守る
青垣の『蔭』から今際の際も守っている
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