『事代主神』 《癒奏術・鋼の章》




事代主神はけっして言霊を降ろさない。

言霊を使わず『事』で知らせる。



けっこう出会っている神様であるが、『御言』を一度も聞いたことがない。


現れてはただ黙って『事』を「為して」ゆく。



ある時『籠神社』へ赴いた際、同社の摂社のほうに呼ばれ「帽子」を被せられたことがあった。

「帽子」ではなく「風折れ烏帽子」というものか・・・・


「はて?何だこれは・・・」


霊体の頭に被せられた感じで、その日からしばらく頭に違和感が続くが

「なんで?」

理由がわからない。


被せた当の本人(事代主神)の頭に烏帽子が無くなっている。


本当に意味がわからない。


結局、後に理解することになるが、その烏帽子を被せられた理由は、頭の中をのぞかれないようにするためであった。

ちょうどそのころ大切な導きの最中であったから、それが「漏れないように」するためであった。


人の頭の中は「あちら」には「筒抜け」である。

だから、そうならないように「被せられた」ということ。

非常にデリケートな「お役」を「導き」でこなしていた時であり、どうやら「あちら」にも『内密』にする必要があったのだろう。


そして、その導きの「お役」がひと段落したところで被せられた「烏帽子」はいつの間にか無くなっていた。




そういえば私の知り合いも「事代主神」が現れて

「鯛の木彫り」を見せられたという。


意味がわからないので何を尋ねても「鯛の木彫り」を見せるだけ・・・

その人も後になって

「あぁ! 期待(木鯛)してるということか。」

と、得心したようである。




事代主神はおよそこのような「導き」をする。

だから『事代主』なのである。

事で代わりに導く・・・・


話せない「カラス」の導きは、ただ「事」で導く【八咫烏】


それは「言」を「離れた」【言離神(ことさかのかみ)】である【一言主(ひとことぬし)】

本来「一言」で導くはずが、言を離れたため「一事」で導く。


まるで「言葉を封じられた」かのようである。


封じられたのか自ら封じたのか・・・



『天の逆手』は「言と事」の逆手

「事をもって言を得る」

順序が逆である。



「一言主」が「言離神」となり「事代主神」となった。


「一言」が「一事」に変わったわけである。



言葉を失い「カラス」となって導く神「事代主神」


きっとご本体は「青柴垣」の中なのだろう。

そこから釣り糸の先に「カラス」を付けて導きを与えているようである。