【白銀龍】~金山姫の「玉鋼」





那岐神と那美神の国生み、神産みは「八分」で止まっているとのこと・・・

ではそれを「十分」にするには『九十(コト)』を結ぶ必要がある。


誰が?


本来『九十(コト)』を結ぶはずだった神々・・・

加具土神の誕生以降に生まれた神々である。




その中で・・・『玉鋼の女神』となると一柱しか浮かばない。

那美神から生まれた【金山姫】


黄泉の方におられたのか・・・


いや、【金山姫】ではないな、あの【白銀の龍女】は。

『黄泉醜女(よもつしこめ)』であったのか・・・?


・・・いい線いっているようであるが、まだ違う。



そうこうしながら問いかけと答え探しをしていたが・・・・


「【瓜生(ウリフ)姫】様だな」



どうやら間違いない。


金山の姫君【瓜生姫】

おそらく【金山姫】とされているのはこの姫様ではないかと思う。


その系譜に連なる下照姫、高照姫。

ならば【瓜生姫】で間違いない。


「どうだ?」

といかけに微笑む。



なるほど、今年はちょうど「閏年(うるうどし)」である。

そして、「閏年」の名そのものが【瓜生姫】なのである。


「ということは、閏年の今年でなければならなかったということですか・・・」


『そういうことになる』




どうりで・・・

【厳瑞劔】の施術自体が半年、一年くらいしか期限が無いの施術だと思ったわけだ。

『閏年限定』だということである。




【瓜生姫】は【瀬織津姫】が『内宮』へ上がった際、空席になった『南宮』へ上がられた姫神である。

ゆえに『南宮山』に祀られている「金山の神」ということになる。


そして【金山の姫神】イコール【瓜生姫】である。






『岩戸開かれ「怨念の九頭竜」解き放たれおる。もう襲われておるだろう?』


「・・・・・どれかな?ありすぎてわからん。」


『巨大な』


「あぁ、あれか。逃げられたやつ。」




『まだ岩戸開きは完全ではないからな。怨嗟の一部が具現して襲ってきたものじゃ。』


「あれで一部なのか・・・けっこう大きかったが。・・・てか誰だ?瓜生姫じゃないだろうに。」

あきらかに男神である。


すると、あの時の「不動明王」のような姿が現れる。

「あぁ、あなたでしたか・・・」

国常立神の化身・・・のようなものか。



とにかく人の『穢れ(闇・病み)』を介して襲ってくるので、それもあってこちらに来る人の「敷居」をどんどん上げている部分もある。

でないと周りにも被害が拡散する。

それほど強い【瀬織津姫】に対する怨念である。

だから【祓い】を余儀なくされる部分があるわけで・・・・

過酷な訓練を受けて来たわけである。



『因果じゃな』


「そうですな」

即答で返す。


『最後の因縁である。心してやられよ。』


「・・・・・・」

心して・・・とは覚悟してということか?


「なるようにしかならんです。」


『なるようになせ』


「わかりました。」


『この一年は閏(うるう)じゃ。この一年が仕上げ場じゃ。』


【瓜生姫】がいるうちに・・・ということか。




その一年のうちの二か月がもはや過ぎようとしている。

どれほどの人がこの「火急の状況」を理解しているだろうか・・・・・・