【光の糸】~瀬織津姫の日月の鏡 《癒奏術・華厳の章》




最も大き太陽は 小さな月にも隠れ

大地に 海に沈み行く 珠玉の如き

手のひらの珠玉も 鼻先に掲げたれば

世界を呑み込む器たらん


最も大き太神は すべてのものを包み込む

最も大き太神は どんな小さきものの中にも坐す



合わせ鏡に映してみれば 天地逆さの有り様が映る

されど一つ鏡の世界 天地の有り様狂いたる

三千年の岩戸閉め 二つ鏡を一つにしたり


二つ鏡は日月の鏡

日の鏡は霊(ひ)の鏡 厳の鏡 磐長姫

月の鏡は身(み)の鏡 瑞の鏡 木花咲耶姫


日(霊)の鏡を退けて 月(身)の鏡だけの三千年

最も大き太神が 小さき珠玉と成り果てて

手のひらに乗せた珠玉を 鼻先に下げて神と為す

岩戸閉めたる「岩戸開き」は 月の鏡ひとつだけ

月夜の世界が始まりて 目先しか見ぬ世と成り果てる



日の鏡を失いて 神の御恩を忘れ去り

月の鏡に映る太神 珠玉の如き小さきもの

鼻先にある珠玉に隠れ 忘れ果てたる三千年

伊勢の御蔵に坐しますは 月の鏡一つなり




瀬織津姫の両の手には 日の鏡と月の鏡

日の鏡から伸びる光は 厳の縦糸

月の鏡から伸びる光は 瑞の横糸

横糸ばかりの三千年 縺れ縮れて機乱れ

横糸に 縦糸添わせて三千年

もはやこの先 機織れぬ



月夜の世界の三千年 横糸の舩を奪いて

好き放題に横糸通し 縺れ縮れてお手上げに

稚姫命は還り坐し 再び舩を走らせて

新たに機を織り直す


縺れて縮れて乱れた機を 断ちて新たに織り直し

神一厘の仕組みの裁断 縺れ縮れた機を切る




新たな機糸掴めども 古き糸を手放せぬ

二線二重に分かれた機織り 新し糸を手放すばかり

思いの洗濯出来ぬゆえ 情けの重みで縦糸途切れる

瑞の横糸 水の糸ゆえ 愛は小さく情けは大きく

愛の中にある情け 一つ鏡ゆえ天地逆さま

鼻先の情に愛が隠れて 縦糸掴めず溺れ行く



最も大き太神の ハラに抱かれしこの我が身

我が身の中に息づく太神 合わせ鏡で見てみれば

日の鏡に映るは 太神に抱かれたる我が身

月の鏡に映るは 我の中に息づく太神



瀬織津姫の縦糸は 誰の中にも息づく光

一寸の虫 米粒の中 水の滴ひとつにも光る

三千年前捨てたる鏡 磐長姫の日の鏡

そこから伸びる光の糸を掃除洗濯祓い清めて

しかと掴んで過去を手放せ

二兎を追う者は一兎をも得ず

月夜を生きるか日の出を拝むか

西を向きたる三千年 沈む日ばかり追いかけたりて

日の出が拝めるはずも無し 雲ばかり掴む出雲かな



二つ鏡は日の本の 二つの御山 不二(富士)の乳房

志賀の湖(瑞産み)たる子宮から

神が出ずる神戸の湊(御女陰)

おのころ島を産み成した 伊弉冉神の母体の日の本

神戸の御女陰に稚姫命 瀬織津姫の機織りの舩

戻りて再び機を織り為し 新たな国産み神話が始まる



日の本の大地の龍たる伊弉冉大神

岩戸開きて伊弉諾大神 龍の姿と鳴り成りて

霊(火)身(水)の二龍が水戸(湊)のまぐあひ

新たな国産み神話が始まる