『乙姫命の涙』 《癒奏術・奥宮》




乙姫殿の悲しみは 救い無き世の愛心

地獄と化したるこの世界 業火に焼かれる悲しみが

乙姫殿の真心を焼き 落ちる涙は慈しみの

水となりて焼き鋼(はがね) 〆(しめ)て鍛える誠の劔



愛ゆえの 痛みに耐えて 劔成る



悲しみを 耐えて忍んだ 三千年

鍛えに鍛えたその劔 地獄の亡者を薙ぎ払う





救い無き世の 餓鬼どもを

薙ぎ払いたる 草薙劔

悲しみ捨てて 愛捨てて 誠を捨てた 餓鬼どもを

憤怒の一閃 薙ぎ払う 劔を持つ手は 金剛手



九割八分の餓鬼の世は 初心(うぶ)な真澄(ますみ)を喰らう餓鬼の世

穢れを拡げるその口に 荒ぶる神の 鋼の一閃

綺麗ごとを述べたなら 尾まで裂かれて さようなら



神素戔嗚の荒ぶる劔 世界を二線に立て分ける

潜像世界に現れた 人の心の具現の大蛇

草薙劔を一閃し 九割八分と二分に立て分け

地獄の亡者と真澄の珠 まだらな世界を綺麗に立て分け

改心するものしないもの 時の狭間で際断す




悲しみは 誠を鍛える 鍛冶の鎚

慈悲の涙は 〆(シメ)の雨なり





天目一箇の刀鍛冶 感受の左目閉じたりて 右目ひとつで鎚を打つ


母である 乙姫殿の 悲しみと

涙の水で 劔を鍛える



弥勒示現の柱なる 鍛え抜かれた劔持つ

誠の人を育てんと 右目ひとつで鎚を打つ

一つ目龍の金剛鎚





『見ざる聞かざる言わざる』を 決め込むならばもはや人で無し

人である必要は無し ゆえに草木からお出直し


目も要らぬ 耳も要らぬ 口も要らぬ

要らぬならば 無くしてあげよう

草木となりて 生きるがよろし

望みどおりに弥勒世で 生を謳歌されるがよろし



草木となるが幸せと 望んだままに生きられる

自分一人の幸せを 望まれるなら そのとおり

望みをかなえてあげましょう 森から離れて何もない

場所で一本生えなされ 誰にも邪魔されることなく

弥勒の荒野で一本の 草木となられる望みをあげよう



望んだものが示現する 弥勒世界はもう此処に

生まれ変わりを楽しみに 望む世界へ行きなされ