日月の鏡と誠の柱 《癒奏術・山桜の章》





何の情報もデータもエビデンスも・・・

対処のレシピも存在しない

世界に蔓延する闇(病み)は

唯一『気付き』が自らを救う






闇(病み)の帳が降りた世界で

日の光(五感)を映せぬ鏡(右脳)に

月の鏡(左脳)は月蝕みの如く

真っ暗闇(病み)となるばかり



そもそも医師が闇(病み)の中

九割八分が闇(病み)の中

二分の声など搔き消され

ラッパの音色に行列つくる



九割八分の行列は

大蛇となりてラッパに連なり

残る二分の御魂たち

大蛇の蛇行に引きずられゆく



引きずられたる二分の御魂は

茨の道で槌(つち)打たれ

劔となりゆく玉鋼(たまはがね)

鍛え抜かれて劔となりゆく



大蛇の頭と大蛇の尻尾

どちらが誠の日の光

逆さま天地 グレンと返り

誠の天地が現れる



来年の七夕までは鋼を錬らる

今しばらくは鑪(たたら)の炉の中

天目一(あめのまひとつ)の神の起こす

鞴(ふいご)の渦が紅蓮(ぐれん)と燃ゆる



七夕過ぎたその先は

『気付き』無ければ渦の底

日の鏡と月の鏡を

磨いておらねば闇(病み)のまま



光と闇を立て分ける

最後の刻となりたれば

磨けた御魂と曇りた御魂

渦が天地を分かちゆく



日の鏡と月の鏡の

真中に「誠」有るや無し

「誠」無ければ日月の鏡

同じ光を映せぬ歪み



日月の鏡 歪んでズレなば

真言は魔言と映りゆき

魔言が真言と映りゆく

鏡を支える柱の歪み



見ざる聞かざる言わざるで

塞いだ眼(まなこ)じゃ闇(病み)に気付けぬ

塞いだ耳では誠(真言)は聞こえず

塞いだ口では真言も言えぬ



ゆえに流れに身を任せ

大蛇と成り行くばかりなり

大蛇の頭 ラッパの口に

付き従いて流れゆく



八岐大蛇の最後の業(カルマ)

七転びの後 空 晴れわたる

富士に木の花咲かせるは

槌打ち鍛えた柱の大樹



神素戔嗚の示現の劔

十拳劔をへし折るほどの

鍛え抜かれた鋼の御魂

柱となりて花咲かす