『知性を越えねば空は晴れず』 《癒奏術・風の章》
知性があればいいのだと 品性忘れたお利口さん
高い知能に幼児の品性 言葉遣いは小学生
言葉をおぼえた獣の如き 獣懸かりの霊懸かり
その目に映る世界は灰色 耳に聞こえる音は単調
得しか嗅げぬ鼻づまり 感じる世界は部屋の中だけ
九割八分の霊懸かり 獣の視野で世界は回る
目先の人参追いかけて グルグル回る大鳴門
情けの棘に縄を結ばれ 引きまわされているのだが
知性しかない獣には 判断できる理性無く
首輪ありきのその性(さが)が 当たり前なる獣道
徳を知り得る感性は 眼耳鼻舌身備わらず
言葉で知り得ること以外 受け取ることの無き世界
色音香味に肌触り 言葉にせねば受け取れぬ
たとえ事実と違えども 言葉の方が正しい世界
月読命の世界で閉じた 月夜の現世は夜が開けぬ
日の光を映せぬ月は 夜空を照らすこと出来ず
真っ暗闇に唯一光る 星の明かりを頼るしか無し
宵の明星 開けの明星 北に渦巻く七つ星
動かぬ一つの北極星 唯一無二の闇夜の神
星は夜空に瞬きて 位置を示すが神の役
そこに照らせる神は無く 位置を知るしか道無き世界
月読命の言葉の影と 星の位置だけ測りて進む
一寸先は闇の道 知性は星の瞬きの如し
雲に隠れた月明かり 心に湧き立つ情の叢雲
雲の切れ間から見ゆる星空 偏り過ぎた知性の瞬き
一寸先も見通せぬ 知性の明かりで進む足
見上げてばかりの顔の頂 鼻高天狗と変わりゆく
夜が明けて 日が昇り 月が白く照り映えて
それでも星を探し続ける 心の中は曇り空
眩しく輝く陽光も 茜に染まる朝焼けも
知識に無きものその目に映らぬ 曇り心の闇(病み)のまま
無眼耳鼻舌身意
無色聲香味触法
無眼界 乃至 無意識界
色不異空 空不異色
色即是空 空即是色
それが夜明けの世界の姿 空を超えたる無の世界
いくら知性が有りたとて 雲の壁を超えられぬ
空を見上げるばかりの知では 夜明けを感じる性(さが)は無し
いくら言葉を尽くせども 曇り空ばかり見上げた眼には
晴れた世界は架空の世界 言葉は実(じつ)を結ぶこと無し
知性しか 磨かぬ眼には 曇り空
空の青さを 知る由も無し
天照らします大神は 青き大空を白示し
神素佐鳴は海原の 蒼き輝きを白示す
夜明けた世界が広がりて 月読命は影薄し
されど未だに言葉に頼る 知性しか無き獣たち
闇夜と夜明けの二つの世界 二つに分かつ言の叢雲
辻褄合わぬ色即是空を 知り得るだけの智はあらじ
ひとあしお先にさようなら 晴れた青空 蒼い海
美し世界へひとあしお先に 曇りが晴れたらおいでませ
現世に重なる高天原の 光輝く日のもとへ
ひとあしお先にさようなら 闇(病み)夜の天狗よさようなら
言葉の檻に囚われた 地(知)を這う世界よさようなら
色即是空の光の世界 見透せたなら 案内しませう
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