劔 《癒奏術・海神の章》
【劔】とは『悪』である
鋼の如き強靱な『悪』である
『正義』の仮面を被せるは
おのれに目隠しをすること
『正義』に酔いしれている時
『悪』の甘美を味わうおのれを
見ないための目隠しをする
『正義』という言葉で目を隠す
おのれの心を見ることもせず
おのれの心に振り回されて
目隠し外さぬものたちに
けっして【劔】は渡さぬ
【劔】とは「義をもって悪を為す」もの
心の波に振り回されて振るう【劔】は
ただただ【穢れ】を振り撒く
どんな仮面を被せようとも
心の【穢れ】が振るう【劔】は
【穢れ】を振り撒くだけである
【草薙劔】は強靱な【悪】である
【劔】を振るうは【悪】である
【喜び】を奪い【悲しみ】を産み
【恐れ】を振り撒くものである
ゆえに【劔】を振るう時
【悲しみ】を抱き【恐れ】を抱き
【怒り】を確と抱き鎮め得るものだけが
【草薙劔】を手にする
【劔】が振り撒く【暴威】の先に
産まれる【悲しみ】と【恐れ】を見よ
【劔】を握るその拳には
微塵も【怒り】が在ってはならぬ
【怒り】は心の真ん中に
抱き鎮めて【悪】を浄化す
【劔】を振るう『源』は
穢れ無き心 真白き御旗
『愛』がそのまま【劔】となりて
『愛』をもって【悪】を為す
私心無き【劔】を振るう時
心が痛み ひび割れて
『愛』の泉が湧き出ずる
【悲しみ】と【悲しみ】がぶつかり
【慈悲】の泉が湧き出ずる
【草薙劔】を振るう時
【愛】と【悪】が共にある
【光】と【闇】は陰陽一体
【光】は必ず【影】を産む
いわば【影】は【光】の証し
【影】を無きものとする心が
目を塞ぎ【穢れ】を産む心
おのれの【悪】を見つめぬ者に
【草薙劔】は渡されぬ
おのれの【心】を鎮めぬ者に
【草薙劔】は渡されぬ
おのれの【悪】が産み出した
【穢れ】を祓わぬものには渡せぬ
【義】無き者に【劔】は渡せぬ
【光】ばかり見て【闇】を見ぬ者に
【劔】はけっして渡してはならぬ
【光】在るところ必ず【影】在り
ゆえに【影】を照らす【月】がある
【劔】を振るった【素戔嗚命】が黄泉(闇)の月となったはそのためである
【劔】の【光】で産まれた【闇夜】を
照らすために【月】となった
【夜】を照らす【龍王】 【素戔嗚命】なり
日と申すは天の幸御魂也 月と申すは地の奇御魂
陽龍は天幸御魂也 陰龍は地奇御魂
精神は日月の精気也
昼を照らす神は大日霊尊也 夜を照らす神は龍王也
諸々の衆生の心を照らす神は国之常立尊也
・・・・・・五行祓より
喜びに留まれば穢れ産む
悲しみに留まりても穢れ産む
怒り握りしめても穢れ産む
喜怒哀楽は巡るもの
心の中の五行の巡り
すべての感情に【愛】がある
【愛】ゆえ喜び 【愛】ゆえ悲しみ
【愛】ゆえ恐れ 【愛】ゆえ怒り
【思い】の中に「何」を留めるか?
巡り行く「感情」を留めるか
それとも【愛】を留めるか
【愛】と共にある【悪】を抱けねば
【誠の愛】は留まらぬ
【光】と【闇】を結べねば
【誠の柱】はけっして立たぬ
【国之常立尊】とは
【善】と【悪】
【光】と【闇】
【喜び】と【悲しみ】
それらを【愛】で包んだ【神】である
それが人の【心】の在るべき姿
『諸々の衆生の心を照らす神は国之常立尊也』
【悪】を【愛】で包み込んだ時
【草薙劔】はおのずと産声を上げる
・・・・天目一箇
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