【月の夜(世)の詩】 ~和泉式部殿に捧ぐ




【国之常立大神】の強すぎた正義の火は【素戔嗚大神】と鳴り成りて

世界に『大太刀』を振るい 浄化の炎が世界を駆け巡る

すべての悪を薙ぎ払い 草木も残らぬ世界となった



強すぎる『陽』の火は 時を止めて処断する

少しの歪みも無き火の柱は「弥栄」の巡りを止めたれど

太神の愛は総てを見越し 「弥栄」の進化の果実となる



改心された【国之常立大神】の 正義の剣【素戔嗚大神】は

幾千年の時を地の底で 「正義」が生んだ悲哀を抱いて

喜びへ至る「気」へと昇華し続けた



正義の裏の「悪」を「抱く」は 伊弉冉大神の螺旋の渦

すべての悪を受け入れ抱く 慈しみの大海原

正しき義の炎を受けて 火柱を取り巻く慈しみの水柱

火水調和し「慈愛の柱」 太神の仕組み 進化の果実



【素戔嗚大神】の「映し鏡」 【乙姫殿】の「悲哀の渦」

立て直りたる【国之常立大神】が戻る進化の世界の姿

進化した神が戻る世界は 理(ことわり)すべてが進化する



【国之常立大神】が 隠れ坐したる水の世界

火を失いて螺旋の柱は 右に左に曲がり続けて

祓えど祓えど湧き出すヒルコ 【蛭子神】であふれた世界

柱無き【神】で溢れかえりし



【伊弉諾大神】が与えし火のお役も 情けで曇りて岩戸が閉じる

やむなき仕儀と【月読命】が かまうしか無き「月の世」となる

右に左に曲がる柱を 必死に支えて来たなれど

ヒルコが溢れて海原は 八岐大蛇の列となる




そこへ【国之常立大神】が 戻られ柱を立て直し

かつての正義の火柱ならぬ 慈愛の強き火水の柱

折れること無く 曲がること無く 太神へ続く進化の柱

新たな柱へ立て直し



八岐大蛇を切り裂く剣 かつての処断の剣ではなく

新たな進化の【草薙剣】 火水の柱を鎚打ち現る





天から降り立つ【向津姫】 新たな世界の露払い

【国之常立大神】の 戻られる【宮】を立て直し

【伊都能売之神】を引き連れて 進化の【宮】を新たに創る



新たな【宮】は「人が宮」 人が「霊止(ひと)」となるために

月(水)の世界に日(火)を昇らせて 「日月(霊身)」の世界へと還す

使わされたる【磐長姫】が「日(霊)の鏡」持ちて「日(霊)」を映す



木花咲く姫と木花散る姫 再び巡りて「日月(霊身)の鏡」

月鏡だけの月の夜(世)は 花だけ愛でた【瓊瓊杵尊】

月を愛でたる【月読命】と なりて月の世治め来たる



花の命は短きもの 花が散りても木は生きる

木無き花とは草花で 命短き月の世は

身の命しか愛でられぬ 儚き一夜の夢の如し



草花愛でる月の世に 日(霊)が差し木之花咲く季節

息吹き始めた『稚桜』 【稚姫命】の機織りの音

五色の織り糸 五観音 【きひつかみ】が織りなす絵柄

雪を押し上げ咲く梅の花 折れず曲がらぬ竹の幹

枯れる事無き松の木たちを 鮮やかに彩る桜色



富士(不二)の御山に木の花咲いて 新たな世界が生まれ成す

富士の御山は「神人」の山 人が霊止なり木となりて

花咲き散れども再び咲かせる 永遠なる生命へと還る

富士(不死)の御山の弥勒の世界 神は霊止なり 霊止は神なり